大判例

20世紀の現憲法下の裁判例を掲載しています。

名古屋高等裁判所 昭和25年(う)1748号 判決 1950年12月25日

被告人

山田一郎こと

兪相植

主文

原判決を破棄する。

本件を名古屋地方裁判所に差し戻す。

理由

弁護人三宅厚三の控訴趣意第一点の(一)について。

原判決(起訴状及び追起訴状引用)によれば原審は被告人が昭和二十五年五月三十日午後八時半頃愛知県一宮市梅ケ枝通一丁目三十三番地崔錫春方において同人所有の陶製火鉢一個及び裏口の硝子一枚を破壊し次いで同日午後十一時半頃再び同人方表硝子戸の硝子二枚を破壊したとの事実を認定した上右は夫々刑法第二百六十一条所定の毀棄罪に該当するものとして有罪の判定を与えていること及び右毀棄罪は夫々親告罪として告訴権者の告訴なくして適法にその公訴を提起し得ないことは所論の通りである。然るに一件記録上右事実に対する公訴提起は昭和二十五年六月八日であるところ右被害者兪錫春の副検事に対する告訴調書によれば右兪錫春の告訴は右公訴提起の後である同年七月五日であることが明かでありその他現在の資料の程度において右公訴提起前に適法な告訴のなされた形跡を認め得ないのであるから原審が右の毀棄罪を有罪としたのは不法に公訴を受理した違法があり原判決は他の論旨に対する判断をなす迄もなく刑事訴訟法第三百七十八条第二号前段、第三百九十七条によつて破棄を免れない。

自由と民主主義を守るため、ウクライナ軍に支援を!
©大判例